仲裁の特徴

次に、裁判と比較しつつ、仲裁の特徴を幾つか挙げてみましょう。

(1) 当事者が選んだ専門家による判断

 仲裁では、原則として当事者が紛争を解決する第三者である仲裁人を自由に選ぶことができるので、紛争の内容に応じた専門家による判断が期待できます。これに対し、裁判では裁判官を選ぶ権利は当事者には認められていません。

(2) 非公開

 一般に、仲裁での手続は非公開であり、仲裁判断も当事者の合意がない限り公表されません。従って、営業上の秘密やプライバシーは守られます。これに対し、裁判は公開が原則です。(憲法第82条第1項)。

(3) 迅速性と経済性

 裁判に時間がかかることはよく知られています。仲裁は裁判と違って上訴がなく、一審限りです。また当事者の合意により仲裁判断をすべき期間を定めることができるので、裁判に比べ紛争が解決されるまでの時間はかからないといえます。また紛争解決に要する期間が短い分、コストを抑えることができます。 協会の仲裁では、申立ての請求金額が2千万円以下の場合に原則として適用される簡易手続による仲裁は、仲裁人が選任された日から原則として3ヵ月以内に仲裁判断を得ることができます。この簡易手続によらない仲裁の場合は、事件の難易度にもよりますが、仲裁の申立てから紛争の解決までの期間は約1年半です。

(4) 国際性

 裁判の場合、判決を外国で執行することは、各国の法制度上必ずしも容易ではありません。これに対し仲裁の場合、その判断を外国で執行することは、1958年の「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」、いわゆるニューヨーク条約が存在し、現在ではわが国を含め130カ国以上もの国が締約国となっているため、きわめて容易であるといえます。本条約の締約国についてはUNCITRALのホームページをご参照下さい。

 裁判とは異なり、国際仲裁事件の代理については、外国法事務弁護士が国際仲裁事件の手続について代理をすることができるほか、外国で法律事務を行っている外国弁護士も、その国で依頼され、または受任した国際仲裁事件の手続について代理することができます「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」。

裁判と仲裁の比較

「裁判官」
当事者が選べない
「仲裁人」
当事者が紛争の事案に応じて自由に選べる
対審および判決言渡しは公開仲裁手続および仲裁判断は非公開
「三審制」
上訴ができる反面、長期化し、非経済的である
「一審制」
早期解決が図れ、経済的である
判決の国際的強制に関する多数国間条約の不存在ニューヨーク条約による仲裁判断の国際的強制力