仲裁について

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仲裁法
(平成15年8月1日法律第138号)



第1章 総則

第1条(趣旨)
     仲裁地が日本国内にある仲裁手続及び仲裁手続に関して裁判所が行う手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
第2条(定義)
     この法律において「仲裁合意」とは、既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律関係(契約に基づくものであるかどうかを問わない。)に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を1人又は2人以上の仲裁人にゆだね、かつ、その判断(以下「仲裁判断」という。)に服する旨の合意をいう。
  1.  この法律において「仲裁廷」とは、仲裁合意に基づき、その対象となる民事上の紛争について審理し、仲裁判断を行う1人の仲裁人又は2人以上の仲裁人の合議体をいう。
  2.  この法律において「主張書面」とは、仲裁手続において当事者が作成して仲裁廷に提出する書面であって、当該当事者の主張が記載されているものをいう。
第3条(適用範囲)
     次章から第7章まで、第9章及び第10章の規定は、次項及び第8条に定めるものを除き、仲裁地が日本国内にある場合について適用する。
  1.  第14条第1項及び第15条の規定は、仲裁地が日本国内にある場合、仲裁地が日本国外にある場合及び仲裁地が定まっていない場合に適用する。
  2.  第8章の規定は、仲裁地が日本国内にある場合及び仲裁地が日本国外にある場合に適用する。
第4条(裁判所の関与)
     仲裁手続に関しては、裁判所は、この法律に規定する場合に限り、その権限を行使することができる。
第5条(裁判所の管轄)
     この法律の規定により裁判所が行う手続に係る事件は、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

    当事者が合意により定めた地方裁判所
    仲裁地(一の地方裁判所の管轄区域のみに属する地域を仲裁地として定めた場合に限る。)を管轄する地方裁判所
    当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
  1.  この法律の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、先に申立てがあった裁判所が管轄する。
  2.  裁判所は、この法律の規定により裁判所が行う手続に係る事件の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送しなければならない。
第6条(任意的口頭弁論)
     この法律の規定により裁判所が行う手続に係る裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
第7条(裁判に対する不服申立て)
     この法律の規定により裁判所が行う手続に係る裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し、その告知を受けた日から2週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
第8条(仲裁地が定まっていない場合における裁判所の関与)
     裁判所に対する次の各号に掲げる申立ては、仲裁地が定まっていない場合であって、仲裁地が日本国内となる可能性があり、かつ、申立人又は被申立人の普通裁判籍(最後の住所により定まるものを除く。)の所在地が日本国内にあるときも、することができる。この場合においては、当該各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める規定を適用する。

    第16条第3項の申立て 同条
    第17条第2項から第5項までの申立て 同条
    第19条第4項の申立て 第18条及び第19条
    第20条の申立て 同条
  1.  前項の場合における同項各号に掲げる申立てに係る事件は、第5条第1項の規定にかかわらず、前項に規定する普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
第9条(裁判所が行う手続に係る事件の記録の閲覧等)
     この法律の規定により裁判所が行う手続について利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、次に掲げる事項を請求することができる。

    事件の記録の閲覧又は謄写
    事件の記録中の電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録の複製
    事件の記録の正本、謄本又は抄本の交付
    事件に関する事項の証明書の交付
第10条(裁判所が行う手続についての民事訴訟法の準用)
     この法律の規定により裁判所が行う手続に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定を準用する。
第11条(最高裁判所規則)
     この法律に定めるもののほか、この法律の規定により裁判所が行う手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第12条(書面によってする通知)
     仲裁手続における通知を書面によってするときは、当事者間に別段の合意がない限り、名あて人が直接当該書面を受領した時又は名あて人の住所、常居所、営業所、事務所若しくは配達場所(名あて人が発信人からの書面の配達を受けるべき場所として指定した場所をいう。以下この条において同じ。)に当該書面が配達された時に、通知がされたものとする。
  1.  裁判所は、仲裁手続における書面によってする通知について、当該書面を名あて人の住所、常居所、営業所、事務所又は配達場所に配達することが可能であるが、発信人が当該配達の事実を証明する資料を得ることが困難である場合において、必要があると認めるときは、発信人の申立てにより、裁判所が当該書面の送達をする旨の決定をすることができる。この場合における送達については、民事訴訟法第104条及び第110条から第113条までの規定は適用しない。
  2.  前項の規定は、当事者間に同項の送達を行わない旨の合意がある場合には、適用しない。
  3.  第2項の申立てに係る事件は、第5条第1項の規定にかかわらず、同項第1号及び第2号に掲げる裁判所並びに名あて人の住所、常居所、営業所、事務所又は配達場所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
  4.  仲裁手続における通知を書面によってする場合において、名あて人の住所、常居所、営業所、事務所及び配達場所のすべてが相当の調査をしても分からないときは、当事者間に別段の合意がない限り、発信人は、名あて人の最後の住所、常居所、営業所、事務所又は配達場所にあてて当該書面を書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法により発送すれば足りる。この場合においては、当該書面が通常到達すべきであった時に通知がされたものとする。
  5.  第1項及び前項の規定は、この法律の規定により裁判所が行う手続において通知を行う場合については、適用しない。

第2章 仲裁合意

第13条(仲裁合意の効力等)
     仲裁合意は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者が和解をすることができる民事上の紛争(離婚又は離縁の紛争を除く。)を対象とする場合に限り、その効力を有する。
  1.  仲裁合意は、当事者の全部が署名した文書、当事者が交換した書簡又は電報(ファクシミリ装置その他の隔地者間の通信手段で文字による通信内容の記録が受信者に提供されるものを用いて送信されたものを含む。)その他の書面によってしなければならない。
  2.  書面によってされた契約において、仲裁合意を内容とする条項が記載された文書が当該契約の一部を構成するものとして引用されているときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
  3.  仲裁合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとする。
  4.  仲裁手続において、一方の当事者が提出した主張書面に仲裁合意の内容の記載があり、これに対して他方の当事者が提出した主張書面にこれを争う旨の記載がないときは、その仲裁合意は、書面によってされたものとみなす。
  5.  仲裁合意を含む一の契約において、仲裁合意以外の契約条項が無効、取消しその他の事由により効力を有しないものとされる場合においても、仲裁合意は、当然には、その効力を妨げられない。
第14条(仲裁合意と本案訴訟)
     仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたときは、受訴裁判所は、被告の申立てにより、訴えを却下しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

    仲裁合意が無効、取消しその他の事由により効力を有しないとき。
    仲裁合意に基づく仲裁手続を行うことができないとき。
    当該申立てが、本案について、被告が弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後にされたものであるとき。
  1.  仲裁廷は、前項の訴えに係る訴訟が裁判所に係属する間においても、仲裁手続を開始し、又は続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
第15条(仲裁合意と裁判所の保全処分)
     仲裁合意は、その当事者が、当該仲裁合意の対象となる民事上の紛争に関して、仲裁手続の開始前又は進行中に、裁判所に対して保全処分の申立てをすること、及びその申立てを受けた裁判所が保全処分を命ずることを妨げない。

第3章 仲裁人

第16条(仲裁人の数)
     仲裁人の数は、当事者が合意により定めるところによる。
  1.  当事者の数が2人である場合において、前項の合意がないときは、仲裁人の数は、3人とする。
  2.  当事者の数が3人以上である場合において、第1項の合意がないときは、当事者の申立てにより、裁判所が仲裁人の数を定める。
第17条(仲裁人の選任)
     仲裁人の選任手続は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、第5項又は第6項に規定するものについては、この限りでない。
  1.  当事者の数が2人であり、仲裁人の数が3人である場合において、前項の合意がないときは、当事者がそれぞれ1人の仲裁人を、当事者により選任された2人の仲裁人がその余の仲裁人を、選任する。この場合において、一方の当事者が仲裁人を選任した他方の当事者から仲裁人を選任すべき旨の催告を受けた日から30日以内にその選任をしないときは当該当事者の申立てにより、当事者により選任された2人の仲裁人がその選任後30日以内にその余の仲裁人を選任しないときは一方の当事者の申立てにより、裁判所が仲裁人を選任する。
  2.  当事者の数が2人であり、仲裁人の数が1人である場合において、第1項の合意がなく、かつ、当事者間に仲裁人の選任についての合意が成立しないときは、一方の当事者の申立てにより、裁判所が仲裁人を選任する。
  3.  当事者の数が3人以上である場合において、第1項の合意がないときは、当事者の申立てにより、裁判所が仲裁人を選任する。
  4.  第1項の合意により仲裁人の選任手続が定められた場合であっても、当該選任手続において定められた行為がされないことその他の理由によって当該選任手続による仲裁人の選任ができなくなったときは、一方の当事者は、裁判所に対し、仲裁人の選任の申立てをすることができる。
  5.  裁判所は、第2項から前項までの規定による仲裁人の選任に当たっては、次に掲げる事項に配慮しなければならない。

    当事者の合意により定められた仲裁人の要件
    選任される者の公正性及び独立性
    仲裁人の数を1人とする場合又は当事者により選任された2人の仲裁人が選任すべき仲裁人を選任すべき場合にあっては、当事者双方の国籍と異なる国籍を有する者を選任することが適当かどうか。
第18条(忌避の原因等)
     当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。

    当事者の合意により定められた仲裁人の要件を具備しないとき。
    仲裁人の公正性又は独立性を疑うに足りる相当な理由があるとき。
  1.  仲裁人を選任し、又は当該仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与をした当事者は、当該選任後に知った事由を忌避の原因とする場合に限り、当該仲裁人を忌避することができる。
  2.  仲裁人への就任の依頼を受けてその交渉に応じようとする者は、当該依頼をした者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部を開示しなければならない。
  3.  仲裁人は、仲裁手続の進行中、当事者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実(既に開示したものを除く。)の全部を遅滞なく開示しなければならない。
第19条(忌避の手続)
     仲裁人の忌避の手続は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、第4項に規定するものについては、この限りでない。
  1.  前項の合意がない場合において、仲裁人の忌避についての決定は、当事者の申立てにより、仲裁廷が行う。
  2.  前項の申立てをしようとする当事者は、仲裁廷が構成されたことを知った日又は前条第1項各号に掲げる事由のいずれかがあることを知った日のいずれか遅い日から15日以内に、忌避の原因を記載した申立書を仲裁廷に提出しなければならない。この場合において、仲裁廷は、当該仲裁人に忌避の原因があると認めるときは、忌避を理由があるとする決定をしなければならない。
  3.  前3項に規定する忌避の手続において仲裁人の忌避を理由がないとする決定がされた場合には、その忌避をした当事者は、当該決定の通知を受けた日から30日以内に、裁判所に対し、当該仲裁人の忌避の申立てをすることができる。この場合において、裁判所は、当該仲裁人に忌避の原因があると認めるときは、忌避を理由があるとする決定をしなければならない。
  4.  仲裁廷は、前項の忌避の申立てに係る事件が裁判所に係属する間においても、仲裁手続を開始し、又は続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
第20条(解任の申立て)
     当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁人の解任の申立てをすることができる。この場合において、裁判所は、当該仲裁人にその申立てに係る事由があると認めるときは、当該仲裁人を解任する決定をしなければならない。

    仲裁人が法律上又は事実上その任務を遂行することができなくなったとき。
    前号の場合を除くほか、仲裁人がその任務の遂行を不当に遅滞させたとき。
第21条(仲裁人の任務の終了)
     仲裁人の任務は、次に掲げる事由により、終了する。

    仲裁人の死亡
    仲裁人の辞任
    当事者の合意による仲裁人の解任
    第19条第1項から第4項までに規定する忌避の手続においてされた忌避を理由があるとする決定
    前条の規定による仲裁人の解任の決定
  1.  第19条第1項から第4項までに規定する忌避の手続又は前条の規定による解任の手続の進行中に、仲裁人が辞任し、又は当事者の合意により仲裁人が解任されたという事実のみから、当該仲裁人について第18条第1項各号又は前条各号に掲げる事由があるものと推定してはならない。
第22条(後任の仲裁人の選任方法)
     前条第1項各号に掲げる事由により仲裁人の任務が終了した場合における後任の仲裁人の選任の方法は、当事者間に別段の合意がない限り、任務が終了した仲裁人の選任に適用された選任の方法による。

第4章 仲裁廷の特別の権限

第23条(自己の仲裁権限の有無についての判断)
     仲裁廷は、仲裁合意の存否又は効力に関する主張についての判断その他自己の仲裁権限(仲裁手続における審理及び仲裁判断を行う権限をいう。以下この条において同じ。)の有無についての判断を示すことができる。
  1.  仲裁手続において、仲裁廷が仲裁権限を有しない旨の主張は、その原因となる事由が仲裁手続の進行中に生じた場合にあってはその後速やかに、その他の場合にあっては本案についての最初の主張書面の提出の時(口頭審理において口頭で最初に本案についての主張をする時を含む。)までに、しなければならない。ただし、仲裁権限を有しない旨の主張の遅延について正当な理由があると仲裁廷が認めるときは、この限りでない。
  2.  当事者は、仲裁人を選任し、又は仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与をした場合であっても、前項の主張をすることができる。
  3.  仲裁廷は、適法な第2項の主張があったときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める決定又は仲裁判断により、当該主張に対する判断を示さなければならない。

    自己が仲裁権限を有する旨の判断を示す場合 仲裁判断前の独立の決定又は仲裁判断
    自己が仲裁権限を有しない旨の判断を示す場合 仲裁手続の終了決定
  4.  仲裁廷が仲裁判断前の独立の決定において自己が仲裁権限を有する旨の判断を示したときは、当事者は、当該決定の通知を受けた日から30日以内に、裁判所に対し、当該仲裁廷が仲裁権限を有するかどうかについての判断を求める申立てをすることができる。この場合において、当該申立てに係る事件が裁判所に係属する場合であっても、当該仲裁廷は、仲裁手続を続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
第24条(暫定措置又は保全措置)
     仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、その一方の申立てにより、いずれの当事者に対しても、紛争の対象について仲裁廷が必要と認める暫定措置又は保全措置を講ずることを命ずることができる。
  1.  仲裁廷は、いずれの当事者に対しても、前項の暫定措置又は保全措置を講ずるについて、相当な担保を提供すべきことを命ずることができる。

第5章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理

第25条(当事者の平等待遇)
     仲裁手続においては、当事者は、平等に取り扱われなければならない。
  1.  仲裁手続においては、当事者は、事案について説明する十分な機会が与えられなければならない。
第26条(仲裁手続の準則)
     仲裁廷が従うべき仲裁手続の準則は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、この法律の公の秩序に関する規定に反してはならない。
  1.  前項の合意がないときは、仲裁廷は、この法律の規定に反しない限り、適当と認める方法によって仲裁手続を実施することができる。
  2.  第1項の合意がない場合における仲裁廷の権限には、証拠に関し、証拠としての許容性、取調べの必要性及びその証明力についての判断をする権限が含まれる。
第27条(異議権の放棄)
     仲裁手続においては、当事者は、この法律の規定又は当事者間の合意により定められた仲裁手続の準則(いずれも公の秩序に関しないものに限る。)が遵守されていないことを知りながら、遅滞なく(異議を述べるべき期限についての定めがある場合にあっては、当該期限までに)異議を述べないときは、当事者間に別段の合意がない限り、異議を述べる権利を放棄したものとみなす。
第28条(仲裁地)
     仲裁地は、当事者が合意により定めるところによる。
  1.  前項の合意がないときは、仲裁廷は、当事者の利便その他の紛争に関する事情を考慮して、仲裁地を定める。
  2.  仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、前2項の規定による仲裁地にかかわらず、適当と認めるいかなる場所においても、次に掲げる手続を行うことができる。

    合議体である仲裁廷の評議
    当事者、鑑定人又は第三者の陳述の聴取
    物又は文書の見分
第29条(仲裁手続の開始及び時効の中断)
     仲裁手続は、当事者間に別段の合意がない限り、特定の民事上の紛争について、一方の当事者が他方の当事者に対し、これを仲裁手続に付する旨の通知をした日に開始する。
  1.  仲裁手続における請求は、時効中断の効力を生ずる。ただし、当該仲裁手続が仲裁判断によらずに終了したときは、この限りでない。
第30条(言語)
     仲裁手続において使用する言語及びその言語を使用して行うべき手続は、当事者が合意により定めるところによる。
  1.  前項の合意がないときは、仲裁廷が、仲裁手続において使用する言語及びその言語を使用して行うべき手続を定める。
  2.  第1項の合意又は前項の決定において、定められた言語を使用して行うべき手続についての定めがないときは、その言語を使用して行うべき手続は、次に掲げるものとする。

    口頭による手続
    当事者が行う書面による陳述又は通知
    仲裁廷が行う書面による決定(仲裁判断を含む。)又は通知
  3.  仲裁廷は、すべての証拠書類について、第1項の合意又は第2項の決定により定められた言語(翻訳文について使用すべき言語の定めがある場合にあっては、当該言語)による翻訳文を添付することを命ずることができる。
第31条(当事者の陳述の時期的制限)
     仲裁申立人(仲裁手続において、これを開始させるための行為をした当事者をいう。以下同じ。)は、仲裁廷が定めた期間内に、申立ての趣旨、申立ての根拠となる事実及び紛争の要点を陳述しなければならない。この場合において、仲裁申立人は、取り調べる必要があると思料するすべての証拠書類を提出し、又は提出予定の証拠書類その他の証拠を引用することができる。
  1.  仲裁被申立人(仲裁申立人以外の仲裁手続の当事者をいう。以下同じ。)は、仲裁廷が定めた期間内に、前項の規定により陳述された事項についての自己の主張を陳述しなければならない。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
  2.  すべての当事者は、仲裁手続の進行中において、自己の陳述の変更又は追加をすることができる。ただし、当該変更又は追加が時機に後れてされたものであるときは、仲裁廷は、これを許さないことができる。
  3.  前3項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
第32条(審理の方法)
     仲裁廷は、当事者に証拠の提出又は意見の陳述をさせるため、口頭審理を実施することができる。ただし、一方の当事者が第34条第3項の求めその他の口頭審理の実施の申立てをしたときは、仲裁手続における適切な時期に、当該口頭審理を実施しなければならない。
  1.  前項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
  2.  仲裁廷は、意見の聴取又は物若しくは文書の見分を行うために口頭審理を行うときは、当該口頭審理の期日までに相当な期間をおいて、当事者に対し、当該口頭審理の日時及び場所を通知しなければならない。
  3.  当事者は、主張書面、証拠書類その他の記録を仲裁廷に提供したときは、他の当事者がその内容を知ることができるようにする措置を執らなければならない。
  4.  仲裁廷は、仲裁判断その他の仲裁廷の決定の基礎となるべき鑑定人の報告その他の証拠資料の内容を、すべての当事者が知ることができるようにする措置を執らなければならない。
第33条(不熱心な当事者がいる場合の取扱い)
     仲裁廷は、仲裁申立人が第31条第1項の規定に違反したときは、仲裁手続の終了決定をしなければならない。ただし、違反したことについて正当な理由がある場合は、この限りでない。
  1.  仲裁廷は、仲裁被申立人が第31条第2項の規定に違反した場合であっても、仲裁被申立人が仲裁申立人の主張を認めたものとして取り扱うことなく、仲裁手続を続行しなければならない。
  2.  仲裁廷は、一方の当事者が口頭審理の期日に出頭せず、又は証拠書類を提出しないときは、その時までに収集された証拠に基づいて、仲裁判断をすることができる。ただし、当該当事者が口頭審理に出頭せず、又は証拠書類を提出しないことについて正当な理由がある場合は、この限りでない。
  3.  前3項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
第34条(仲裁廷による鑑定人の選任等)
     仲裁廷は、1人又は2人以上の鑑定人を選任し、必要な事項について鑑定をさせ、文書又は口頭によりその結果の報告をさせることができる。
  1.  前項の場合において、仲裁廷は、当事者に対し、次に掲げる行為をすることを求めることができる。

    鑑定に必要な情報を鑑定人に提供すること。
    鑑定に必要な文書その他の物を、鑑定人に提出し、又は鑑定人が見分をすることができるようにすること。
  2.  当事者の求めがあるとき、又は仲裁廷が必要と認めるときは、鑑定人は、第1項の規定による報告をした後、口頭審理の期日に出頭しなければならない。
  3.  当事者は、前項の口頭審理の期日において、次に掲げる行為をすることができる。

    鑑定人に質問をすること。
    自己が依頼した専門的知識を有する者に当該鑑定に係る事項について陳述をさせること。
  4.  前各項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
第35条(裁判所により実施する証拠調べ)
     仲裁廷又は当事者は、民事訴訟法の規定による調査の嘱託、証人尋問、鑑定、書証(当事者が文書を提出してするものを除く。)及び検証(当事者が検証の目的を提示してするものを除く。)であって仲裁廷が必要と認めるものにつき、裁判所に対し、その実施を求める申立てをすることができる。ただし、当事者間にこれらの全部又は一部についてその実施を求める申立てをしない旨の合意がある場合は、この限りでない。
  1.  当事者が前項の申立てをするには、仲裁廷の同意を得なければならない。
  2.  第1項の申立てに係る事件は、第5条第1項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

    第5条第1項第2号に掲げる裁判所
    尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の住所若しくは居所又は検証の目的の所在地を管轄する地方裁判所
    申立人又は被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(前2号に掲げる裁判所がない場合に限る。)
  3.  第1項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  4.  第1項の申立てにより裁判所が当該証拠調べを実施するに当たり、仲裁人は、文書を閲読し、検証の目的を検証し、又は裁判長の許可を得て証人若しくは鑑定人(民事訴訟法第213条に規定する鑑定人をいう。)に対して質問をすることができる。
  5.  裁判所書記官は、第1項の申立てにより裁判所が実施する証拠調べについて、調書を作成しなければならない。

第6章 仲裁判断及び仲裁手続の終了

第36条(仲裁判断において準拠すべき法)
     仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによる。この場合において、一の国の法令が定められたときは、反対の意思が明示された場合を除き、当該定めは、抵触する内外の法令の適用関係を定めるその国の法令ではなく、事案に直接適用されるその国の法令を定めたものとみなす。
  1.  前項の合意がないときは、仲裁廷は、仲裁手続に付された民事上の紛争に最も密接な関係がある国の法令であって事案に直接適用されるべきものを適用しなければならない。
  2.  仲裁廷は、当事者双方の明示された求めがあるときは、前2項の規定にかかわらず、衡平と善により判断するものとする。
  3.  仲裁廷は、仲裁手続に付された民事上の紛争に係る契約があるときはこれに定められたところに従って判断し、当該民事上の紛争に適用することができる慣習があるときはこれを考慮しなければならない。
第37条(合議体である仲裁廷の議事)
     合議体である仲裁廷は、仲裁人の互選により、仲裁廷の長である仲裁人を選任しなければならない。
  1.  合議体である仲裁廷の議事は、仲裁廷を構成する仲裁人の過半数で決する。
  2.  前項の規定にかかわらず、仲裁手続における手続上の事項は、当事者双方の合意又は他のすべての仲裁人の委任があるときは、仲裁廷の長である仲裁人が決することができる。
  3.  前3項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
第38条(和解)
     仲裁廷は、仲裁手続の進行中において、仲裁手続に付された民事上の紛争について当事者間に和解が成立し、かつ、当事者双方の申立てがあるときは、当該和解における合意を内容とする決定をすることができる。
  1.  前項の決定は、仲裁判断としての効力を有する。
  2.  第1項の決定をするには、次条第1項及び第3項の規定に従って決定書を作成し、かつ、これに仲裁判断であることの表示をしなければならない。
  3.  当事者双方の承諾がある場合には、仲裁廷又はその選任した1人若しくは2人以上の仲裁人は、仲裁手続に付された民事上の紛争について、和解を試みることができる。
  4.  前項の承諾又はその撤回は、当事者間に別段の合意がない限り、書面でしなければならない。
第39条(仲裁判断書)
     仲裁判断をするには、仲裁判断書を作成し、これに仲裁判断をした仲裁人が署名しなければならない。ただし、仲裁廷が合議体である場合には、仲裁廷を構成する仲裁人の過半数が署名し、かつ、他の仲裁人の署名がないことの理由を記載すれば足りる。
  1.  仲裁判断書には、理由を記載しなければならない。ただし、当事者間に別段の合意がある場合は、この限りでない。
  2.  仲裁判断書には、作成の年月日及び仲裁地を記載しなければならない。
  3.  仲裁判断は、仲裁地においてされたものとみなす。
  4.  仲裁廷は、仲裁判断がされたときは、仲裁人の署名のある仲裁判断書の写しを送付する方法により、仲裁判断を各当事者に通知しなければならない。
  5.  第1項ただし書の規定は、前項の仲裁判断書の写しについて準用する。
第40条(仲裁手続の終了)
     仲裁手続は、仲裁判断又は仲裁手続の終了決定があったときに、終了する。
  1.  仲裁廷は、第23条第4項第2号又は第33条第1項の規定による場合のほか、次に掲げる事由のいずれかがあるときは、仲裁手続の終了決定をしなければならない。

    仲裁申立人がその申立てを取り下げたとき。ただし、仲裁被申立人が取下げに異議を述べ、かつ、仲裁手続に付された民事上の紛争の解決について仲裁被申立人が正当な利益を有すると仲裁廷が認めるときは、この限りでない。
    当事者双方が仲裁手続を終了させる旨の合意をしたとき。
    仲裁手続に付された民事上の紛争について、当事者間に和解が成立したとき(第38条第1項の決定があったときを除く。)。
    前3号に掲げる場合のほか、仲裁廷が、仲裁手続を続行する必要がなく、又は仲裁手続を続行することが不可能であると認めたとき。
  2.  仲裁手続が終了したときは、仲裁廷の任務は、終了する。ただし、次条から第43条までの規定による行為をすることができる。
第41条(仲裁判断の訂正)
     仲裁廷は、当事者の申立てにより又は職権で、仲裁判断における計算違い、誤記その他これらに類する誤りを訂正することができる。
  1.  前項の申立ては、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁判断の通知を受けた日から30日以内にしなければならない。
  2.  当事者は、第1項の申立てをするときは、あらかじめ、又は同時に、他の当事者に対して、当該申立ての内容を記載した通知を発しなければならない。
  3.  仲裁廷は、第1項の申立ての日から30日以内に、当該申立てについての決定をしなければならない。
  4.  仲裁廷は、必要があると認めるときは、前項の期間を延長することができる。
  5.  第39条の規定は、仲裁判断の訂正の決定及び第1項の申立てを却下する決定について準用する。
第42条(仲裁廷による仲裁判断の解釈)
     当事者は、仲裁廷に対し、仲裁判断の特定の部分の解釈を求める申立てをすることができる。
  1.  前項の申立ては、当事者間にかかる申立てをすることができる旨の合意がある場合に限り、することができる。
  2.  前条第2項及び第3項の規定は第1項の申立てについて、第39条並びに前条第4項及び第5項の規定は第1項の申立てについての決定について、それぞれ準用する。
第43条(追加仲裁判断)
     当事者は、仲裁手続における申立てのうちに仲裁判断において判断が示されなかったものがあるときは、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁廷に対し、当該申立てについての仲裁判断を求める申立てをすることができる。この場合においては、第41条第2項及び第3項の規定を準用する。
  1.  仲裁廷は、前項の申立ての日から60日以内に、当該申立てについての決定をしなければならない。この場合においては、第41条第5項の規定を準用する。
  2.  第39条の規定は、前項の決定について準用する。

第7章 仲裁判断の取消し

第44条
     当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁判断の取消しの申立てをすることができる。

    仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
    仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、日本の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。
    申立人が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続において、日本の法令(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。
    申立人が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
    仲裁判断が、仲裁合意又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。
    仲裁廷の構成又は仲裁手続が、日本の法令(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。
    仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
    仲裁判断の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。
  1.  前項の申立ては、仲裁判断書(第41条から前条までの規定による仲裁廷の決定の決定書を含む。)の写しの送付による通知がされた日から3箇月を経過したとき、又は第46条の規定による執行決定が確定したときは、することができない。
  2.  裁判所は、第1項の申立てに係る事件がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
  3.  第1項の申立てに係る事件についての第5条第3項又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  4.  裁判所は、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、第1項の申立てについての決定をすることができない。
  5.  裁判所は、第1項の申立てがあった場合において、同項各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(同項第1号から第6号までに掲げる事由にあっては、申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る。)は、仲裁判断を取り消すことができる。
  6.  第1項第5号に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、裁判所は、仲裁判断のうち当該部分のみを取り消すことができる。
  7.  第1項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第8章 仲裁判断の承認及び執行決定

第45条(仲裁判断の承認)
     仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)は、確定判決と同一の効力を有する。ただし、当該仲裁判断に基づく民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならない。
  1.  前項の規定は、次に掲げる事由のいずれかがある場合(第1号から第7号までに掲げる事由にあっては、当事者のいずれかが当該事由の存在を証明した場合に限る。)には、適用しない。

    仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
    仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。
    当事者が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。
    当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
    仲裁判断が、仲裁合意又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。
    仲裁廷の構成又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。
    仲裁地が属する国(仲裁手続に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該国)の法令によれば、仲裁判断が確定していないこと、又は仲裁判断がその国の裁判機関により取り消され、若しくは効力を停止されたこと。
    仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
    仲裁判断の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。
  2.  前項第5号に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分及び当該仲裁判断のその他の部分をそれぞれ独立した仲裁判断とみなして、同項の規定を適用する。
第46条(仲裁判断の執行決定)
     仲裁判断に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。以下同じ。)を求める申立てをすることができる。
  1.  前項の申立てをするときは、仲裁判断書の写し、当該写しの内容が仲裁判断書と同一であることを証明する文書及び仲裁判断書(日本語で作成されたものを除く。)の日本語による翻訳文を提出しなければならない。
  2.  第1項の申立てを受けた裁判所は、前条第2項第7号に規定する裁判機関に対して仲裁判断の取消し又はその効力の停止を求める申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、第1項の申立てに係る手続を中止することができる。この場合において、裁判所は、同項の申立てをした者の申立てにより、他の当事者に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。
  3.  第1項の申立てに係る事件は、第5条第1項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる裁判所及び請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
  4.  裁判所は、第1項の申立てに係る事件がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、当該事件の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
  5.  第1項の申立てに係る事件についての第5条第3項又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  6.  裁判所は、次項又は第9項の規定により第1項の申立てを却下する場合を除き、執行決定をしなければならない。
  7.  裁判所は、第1項の申立てがあった場合において、前条第2項各号に掲げる事由のいずれかがあると認める場合(同項第1号から第7号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る。)に限り、当該申立てを却下することができる。
  8.  前条第3項の規定は、同条第2項第5号に掲げる事由がある場合における前項の規定の適用について準用する。
  9.  第44条第5項及び第8項の規定は、第1項の申立てについての決定について準用する。

第9章 雑則

第47条(仲裁人の報酬)
     仲裁人は、当事者が合意により定めるところにより、報酬を受けることができる。
  1.  前項の合意がないときは、仲裁廷が、仲裁人の報酬を決定する。この場合において、当該報酬は、相当な額でなければならない。
第48条(仲裁費用の予納)
     仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁手続の費用の概算額として仲裁廷の定める金額について、相当の期間を定めて、当事者に予納を命ずることができる。
  1.  仲裁廷は、前項の規定により予納を命じた場合において、その予納がないときは、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁手続を中止し、又は終了することができる。
第49条(仲裁費用の分担)
     当事者が仲裁手続に関して支出した費用の当事者間における分担は、当事者が合意により定めるところによる。
  1.  前項の合意がないときは、当事者が仲裁手続に関して支出した費用は、各自が負担する。
  2.  仲裁廷は、当事者間に合意があるときは、当該合意により定めるところにより、仲裁判断又は独立の決定において、当事者が仲裁手続に関して支出した費用の当事者間における分担及びこれに基づき一方の当事者が他方の当事者に対して償還すべき額を定めることができる。
  3.  独立の決定において前項に規定する事項を定めた場合においては、当該決定は、仲裁判断としての効力を有する。
  4.  第39条の規定は、前項の決定について準用する。

第10章 罰則

第50条(収賄、受託収賄及び事前収賄)
     仲裁人が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
  1.  仲裁人になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、仲裁人となった場合において、5年以下の懲役に処する。
第51条(第三者供賄)
     仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
第52条(加重収賄及び事後収賄)
     仲裁人が前2条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
  1.  仲裁人が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
  2.  仲裁人であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
第53条(没収及び追徴)
     犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第54条(贈賄)
     第50条から第52条までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。
第55条(国外犯)
     第50条から第53条までの規定は、日本国外において第50条から第52条までの罪を犯した者にも適用する。
  1.  前条の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第2条の例に従う。

附 則

第1条(施行期日)
     この法律は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第2条(仲裁合意の方式に関する経過措置)
     この法律の施行前に成立した仲裁合意の方式については、なお従前の例による。
第3条(消費者と事業者との間に成立した仲裁合意に関する特例)
     消費者(消費者契約法(平成12年法律第61号)第2条第1項に規定する消費者をいう。以下この条において同じ。)と事業者(同条第2項に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)の間の将来において生ずる民事上の紛争を対象とする仲裁合意(次条に規定する仲裁合意を除く。以下この条において「消費者仲裁合意」という。)であって、この法律の施行後に締結されたものに関しては、当分の間、次項から第7項までに定めるところによる。
  1.  消費者は、消費者仲裁合意を解除することができる。ただし、消費者が当該消費者仲裁合意に基づく仲裁手続の仲裁申立人となった場合は、この限りでない。
  2.  事業者が消費者仲裁合意に基づく仲裁手続の仲裁申立人となる場合においては、当該事業者は、仲裁廷が構成された後遅滞なく、第32条第1項の規定による口頭審理の実施の申立てをしなければならない。この場合において、仲裁廷は、口頭審理を実施する旨を決定し、当事者双方にその日時及び場所を通知しなければならない。
  3.  仲裁廷は、当該仲裁手続における他のすべての審理に先立って、前項の口頭審理を実施しなければならない。
  4.  消費者である当事者に対する第3項の規定による通知は、次に掲げる事項を記載した書面を送付する方法によってしなければならない。この場合において、仲裁廷は、第2号から第5号までに掲げる事項については、できる限り平易な表現を用いるように努めなければならない。

    口頭審理の日時及び場所
    仲裁合意がある場合には、その対象となる民事上の紛争についての仲裁判断には、確定判決と同一の効力があるものであること。
    仲裁合意がある場合には、仲裁判断の前後を問わず、その対象となる民事上の紛争について提起した訴えは、却下されるものであること。
    消費者は、消費者仲裁合意を解除することができること。
    消費者である当事者が第1号の口頭審理の期日に出頭しないときは、消費者である当事者が消費者仲裁合意を解除したものとみなされること。
  5.  第3項の口頭審理の期日においては、仲裁廷は、まず、消費者である当事者に対し、口頭で、前項第2号から第4号までに掲げる事項について説明しなければならない。この場合において、当該消費者である当事者が第2項の規定による解除権を放棄する旨の意思を明示しないときは、当該消費者である当事者は、消費者仲裁合意を解除したものとみなす。
  6.  消費者である当事者が第3項の口頭審理の期日に出頭しないときは、当該消費者である当事者は、消費者仲裁合意を解除したものとみなす。
第4条(個別労働関係紛争を対象とする仲裁合意に関する特例)
     当分の間、この法律の施行後に成立した仲裁合意であって、将来において生ずる個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第1条に規定する個別労働関係紛争をいう。)を対象とするものは、無効とする。
第5条(仲裁手続に関する経過措置)
     この法律の施行前に開始した仲裁手続及び当該仲裁手続に関して裁判所が行う手続(仲裁判断があった後に開始されるものを除く。)については、なお従前の例による。
第6条(仲裁人忌避の訴えに関する経過措置)
     前条に定めるもののほか、この法律の施行前に提起された仲裁人忌避の訴えについては、なお従前の例による。
第7条(仲裁廷に対する忌避の申立てに関する経過措置)
     前2条に定めるもののほか、当事者が、この法律の施行前に、仲裁廷が構成されたこと及び仲裁人に第18条第1項各号に掲げる事由のいずれかがあることを知った場合における第19条第3項の規定の適用については、同項中「仲裁廷が構成されたことを知った日又は前条第1項各号に掲げる事由のいずれかがあることを知った日のいずれか遅い日」とあるのは、「この法律の施行の日」とする。
第8条(仲裁判断の効力に関する経過措置)
     この法律の施行前に仲裁判断があった場合においては、当該仲裁判断の裁判所への預置き、当該仲裁判断の効力、当該仲裁判断の取消しの訴え及び当該仲裁判断に基づく民事執行については、なお従前の例による。

− 以下9条から22条まで省略 −


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